頭がよくなる【ストーリー作文3大特徴】
細かい書き方はいっぱいあるけれど、3大特徴だけ載せてみることにします。
ストーリー作文のテクニックのほんの一部です。
【ポイント1】 事実を起こった順に書く
よく作文で求められる「感想」「思ったこと」「気持ち」などは書く必要はありません。もともとこういうものは長くかけるものではないので、それを書こうとすると余計に苦手になります。かけないのが当たり前だからです。
では、なにを書けばいいのか?
「事実」です。
よく書いてしまいがちなのは、事実をまとめてしまう、ということ。
■例■
【一般的な書き方】
今日は遠足に行きました。
【ストーリー作文】
目が覚める。カーテンの隙間から陽が差し込んでいた。晴れだ。
枕元を見る。いつものランドセルじゃない。リュックサックが置いてある。
今日は遠足だ。
このようにして、事実を順に書いていってストーリー性を持たせる作文のことです。
【ポイント2】 結果を書かず、過程(プロセス)を書く。
「遠足に行きました。」「お弁当を食べました。」「近くで古墳を見ました。」などなど、通常、作文を書くと、みんな「結果」を書いてしまいがちです。だから、続きません。
では、どう書けばいいのでしょうか?
「過程(プロセス)」です。
「結果ばかりを書く」ということは、「プロセスを省く」ということです。
そうすると、文章は続きません。あっという間に終わってしまいます。
ところが、「過程(プロセス)」を書くとどうでしょう?
どんどん書けます。
「ポイント1」で挙げた例のように、「遠足に行きました。」とひと言で片付けられてしまいそうなものを、まず朝目が覚めたときのことから書いてみました。
出かけてすらいません。布団から置きだしてすらいません。
でも、7文(3行)書けました。
もっと書けます。
なにより、読んでいておもしろい!!
ストーリー作文の例では、読み進めて「ああ、遠足に行くんだ。」と分かります。
ここに読むおもしろさといのがわるわけですね。
【ポイント3】 「感想」や「気持ち」は書かない。
作文を一番書けなくしているのが、この「感想」や「気持ち」を書きなさい、と指導されるケース。
感想や気持ちは、「おもしろい」「たのしい」「いい」「悪い」「がっかりする」「哀しい」といった具合に、語彙が非常に限られていて、もともとたくさん書ける性質のものではありません。
作文には、「思ったこと」や「感想」などを素直に書きましょう、などと言ったところで余計書けなくなるだけです。
もし、嘘だと思うなら、自分で原稿用紙に3枚も5枚も「感想」「気持ち」「思ったこと」だけで書いてみましょう。
すぐに行き詰まるはずです。
「感想」や「気持ち」は書かなくていいのです。
たのしかったのなら、たのしかった出来事をたくさん書きましょう。
感動したのなら、「感動した」なんて書かずに、感動した事実を書きましょう。
「感動した。」という感想を聞いて、聞いた人に感動が伝わるでしょうか?
「哀しかった。」という感想を聞いて、聞いた人に哀しみがつたわるでしょうか?
■例■
【一般的な書き方】
哀しかった。
【ストーリー作文】
目頭が熱くなった。涙があふれてくる。とまらない。
あふれだして涙がほほを伝う。
手で顔を隠しながら、人に見られないように駆け出していた。
と、このように書きます。
小説と似ています。
でも、小説ではありません。
「小説風に書く作文」です。
作り話でもないし、ノンフィクションでもない。
作文です。
これを考えて書けば頭が鍛えられます。だから頭がよくなるのです。
ただ、作文を書けばいい、ということではありません。
しっかり、知恵を絞って書く。
だから、頭が鍛えられるのです。
具体的なストーリー作文の上級テクニックや学力アップの秘訣などは以下の本に「イヤというほど」書いてあります。
アマゾン総合1位
重版15刷!!
「本当の学力」は作文で劇的に伸びる 芦永奈雄著 大和出版
ひとつだけ、ストーリー作文の傑作を載せておきましょう。
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風の中をつき進め
小4 土岐美紗季
「五秒前。」
木立コーチの声はいつもとちがった。ピリピリしている。
私はスタート台に立っている。ストックを持ち、かまえる。足がガクガクする。
青々とした空。真っ白な雲が風にのって流れている。速い。山の上からは町が小さく見える。白い雪の世界が目の前に広がっている。光が当たると雪に反射して、きらきらと輝く。白一色の斜面に赤、青、赤、青とポールが立っている。あの間をすべるんだ。
緊張する。
「スタート!」
かけ声とともに思いっきりストックに力を込めてとび出した。ビュービュー。顔に風がつきささる。
赤と青のポールの間を交互によけて、すべる。あっ、横風がきた。ブァー。ゴォォー。舞い上がる雪。目の前は真っ白。ころびそうだ。
「うわぁっ!」
足にぐっと力を入れた。持ちこたえたぞ。背を低くし、前につっこんだ。スピードが増す。ビュゥゥ、ビュゥゥ。耳元で風が強くなった。風の中をすべる。斜面がせまってくる。ポールに集中。景色なんて見えない。前に進め。進め。
もっと進め。もっと速く進め。ヒュンヒュン。ヒュー。速く行け。
ゴールが見えてきた。かがんで、風の抵抗を弱めた。
「ゴール!」
三上コーチがストップウォッチを止めた。ブレーキをかけて、スキーのスピードを落とした。はぁはぁ。吐く息が白い。スキーが止まった。風も止まった。何秒だったのかな。おそかったのかな。
ヒュッテで暖まっていると、コーチが来た。タイムレースの結果が書かれてある紙をかべにはった。みんなワッと集まった。一分十五秒三。
「がんばったなぁ。」
三上コーチが言った。
あれから一年。今年も、もうすぐレーシングチームのみんなやコーチに会える。
一年ぶりのみんなはどうなっているかな。
おわり
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